【書評】「働き方の損益分岐点」給料が上がらない理由ともっと楽に生きる方法
毎日毎日、精神を擦り減らして働くのがしんどい!
必死に働いているけど生活が豊かにならないのはなぜ?
しんどい働き方から抜け出す方法はないの?
上記のように「いまの働き方、生き方に限界を感じている人」に向けて書いています。
サラリーマンで、毎日必死に働いているけど、なかなか生活が楽にならないと感じている方は多いのではないでしょうか。
生活を豊かにするためには高い給料が必要だ!
転職して良い条件の企業で働こうかな!
ちょっと待ってください!
結論、転職してもあなたは楽にはなりません。現代において「働く」ということの本質的な意味を理解しないとこの先も何も変わりません!
しかし、この本を読めばそんな状況を打破する知見が得られます!
現代において、あなたは意識せずとも「資本主義」という逃れられないルールの中で働いています。
資本主義というルールを理解することで、そのルールの中で最大限うまくやっていく方法がわかるのです。
つまりどのように働けば、しんどい働き方から抜け出して精神的にプラスで働けるかが分かるようになります。
・あなたの給料の決まり方
・しんどい働き方から抜け出すにはどう働くべきか
・働き方の具体的な実践方法
本書「働き方の損益分岐点」はしんどい働き方から抜け出して生活を豊かにするための指南書です。
わたしたちはどう働き、どう生きるべきかということについて考えてみましょう。
本記事では私が本書を読んで実践した働き方と、それによって
起きたメンタルの変化を体験談としてお伝えします!
目次
あなたの生活が豊かにならないのはなぜか
あなたの給料はこうやって決まっている
あなたの生活の豊かさを考える上で、給料は切っても切り離せない存在です。
まず、あなたの給料がどのようにきまっているか解説します。
給料の決まり方としては次の2種類があります。
①必要経費方式 : 自分が生活するのに必要なお金(経費)を給料としてもらう
②利益分け前方式 : 自分が稼ぎ出した利益の一部を給料としてもらう
日本で多くの企業が採用しているのは①必要経費方式です。
この方式ではどんなに努力して会社に利益をもたらしても、基本的に給料は変わりません。
日本でも②のように成果主義の会社はあるのでは?
日本での成果主義はあくまでも①の必要経費方式の延長です。
個人で大きな利益を出すと次のボーナスが増える等、一時的な報酬は得られます。
しかしこれまでの2倍の利益を上げたからといって給料が2倍になることはありませんよね。
したがって、日本の成果主義は①をベースにプラスアルファを支給しているにすぎません。
なるほど。では同じ職場でも年齢や役職で給料が違うのはなぜ?
必要経費方式は、マルクスの経済学では「労働の再生産コスト」と言います。
分かりやすく言うと、あなたが明日も同じように働くために必要なお金のことを指します。
年齢や役職で給料が違うのは、この労働の再生産コストが違うと考えられているからです。
同じ人間なのに再生産コストが違うのはなぜ?
ここで少し経済学の話をすると、「使用価値」と「価値」という言葉があります。
・使用価値 : それを使って意味があるかどうか(有益か、役に立つか)で測られる
・価値 : それを作るのにどれくらいの手間、経費がかかったかで測られる
資本主義では一般的に、コストや価格は上記の「価値」が基準になって決まります。使用価値ではありません。
つまり、労働力コストは、その労働力を作るのにどれだけの手間、経費がかかったかで決まります。
給料が高い人は必要経費が高いということか!
そう、あなたの職場の年齢が上の人や、役職が高い人の給料が高いのはその労働力を作る経費が増えるからです。
年齢が上がると子供が増えたり、家族を養う経費が必要になってきます。
また役職が上がるとストレスが増え、飲んだり息抜きをする経費がかかります。
これらを加味して労働の再生産コスト、つまり給料が決まっているということです。
正確には生活に必要な経費に加えその人がもたらした利益(使用価値)がプラスアルファという形で乗ってきます。
これは一時的なボーナスという程度なので、あくまで給料のベースは「生活に必要な経費」として考えて良いです。
あなたの生活が豊かにならないのはなぜか
給料の決まり方がわかると、なぜ生活が楽になっていかないのかという原因が分かってきます。
その答えは、あなたは「生活に必要な経費のみしかもらっていないから」ということになります。
年齢や役職が上がって給料が上がっても、必要経費が上がるため生活は楽にはならないのです。
あなたの働き方がしんどいのはなぜか
続いて、なぜあなたの働き方がしんどいのかという点を説明していきます。
これも資本主義による宿命です。
結論、資本主義の下では、あなたは「利益」のために限界まで働かされるからです。
これを理解するために、企業が利益を生み出す構造から説明します。
下の図は企業が原材料を仕入れて、機械で加工して商品を作ったときの費用と商品の価値を簡単に記載したものです。
説明したように、資本主義で「価値」というのはそれを作るのにどれくらいの手間、経費がかかったかで測られます。
すると、商品の価値は企業が払った価値と同じになります。
商品価値=費用ってことは利益がゼロってこと?
そのとおりです。
では、商品の生産前後で、どこで「価値」が上がるかというと、「労働」の部分です。
新たな価値を付け加えることができるのは労働者のみだとマルクスは言います。
これを剰余価値と言います。
下の図は剰余価値が生まれる過程を表現したものです。
さきほどの原材料から商品を生み出す工程において、もし生産量を倍にしたらどうなるでしょうか。
原材料と機械及び労働者が生み出す商品の価値は生産量が倍になったので倍の価値になります。
では企業が支払う費用はどうでしょう。
原材料と機械のレンタル料は生産量の増加に伴って倍の金額がかかります。
しかし、労働者については費用が変わりません。
ん?どういうこと?
これは企業側は労働者に1日働いてもらう権利を有しているため、この範囲内であればどれだけ働いてもらっても費用は変わらないのです。生み出した価値とは無関係ということですね。
すると商品の価値と企業が払う費用の間に差が生まれ、これが利益になります。
これが新たな価値を生み出せるのは労働だけというわけです。
ここから何が言えるかというと、労働者は2種類の労働をしているということです。
①必要労働 : 自分のために「給料分の価値」を生み出す労働
②剰余労働 : 企業のために「剰余価値」を生み出す労働
とくに企業はライバルより利益を出そうと剰余労働をさせる必要があるわけです。
これがあなたの働き方がしんどい根本的な原因です。
資本主義の競争原理がそうさせているのか!
はい、資本主義では競争に負けるとレースから脱落してしまいます。
周りが他社より良いものや安いものを作って競争に勝とうすると、みなそれに付いていかなければなりません。
その結果、得られるものや給料は変わらない一方で、エネルギーを消耗し、ストレスを受けて疲弊していくのです。
しんどい働き方から抜け出して生活を豊かにする方法
以上を踏まえて、しんどい働き方(ラットレース)から抜け出す方法を解説します。
突然ですが、下記の①は企業の利益を求めるときの式です。
企業活動を続けていくにはこの利益をいかに増やすかということが重要です。
個人の場合も同じように考えられます。それを表したのが②の式です。
この自己内利益をいかに高められるかが、今後どう働き、生きていくかという点で重要だと本書では語られています。
①売上 ー 費用 = 利益
②仕事から得られる満足感(年収・昇進) ー 労力などの必要経費 = 自己内利益
年収を上げるっていうことぐらいしか思いつかない。。
多くの人は年収を増やして自己内利益を上げようとしますが、これはおすすめできません。
なぜなら、年収を増やそうとすると、労力などの必要経費が増えて損益分岐点が逃げて行ってしまうからです。
また年収を増やしたり昇給して満足感を得ても、人間は慣れる生き物であるため、そこから得られる幸せは長くは続かないということも分かっています。
逆に一度上げた満足感を下げることは難しいという問題もあります。
年収が上がって高級な食事ばかりしていたら、もう安いものは食べられないのと同じですね。
それでもし不景気で給料が下がったらどうなるでしょうか。
仕事から受けるストレス(費用)が満足感を上回る状態。企業で言う赤字です。
これらを踏まえて「自己内利益」を増やすには次の2つが効果的と言えます。
①満足感は変えずに、必要経費を下げる方法
②必要経費を変えずに、満足感を上げる方法
①満足感は変えずに、必要経費を下げる方法
結論から言うと、「世間相場よりもストレスを感じない仕事を選ぶ」ということです。
理由を順を追って説明します。
まず労働者は給料をもらうために労働をしなければなりません。
労働の必要経費として給料が支払われるのでした。
ここで給料の基準となっている必要経費は「世間相場」で決まります。
給料の中には月額で一律支給される交通費なども含まれますね。
ということは、もし社会一般にかかる必要経費より、個人的にかかる必要経費が少なければ、その分「自己内利益」を増やすことが出来るということです。
具体的に言うと、「給料が安くてもやりたい!」と思えるような自分にとって意義ある仕事をイメージしてください。
よくある「好き」を仕事にしよう!ってやつか。
そういうわけではありません。
仕事は仕事であって、遊びではありませんし、本来「楽しいこと」ではないことを楽しめと言われても無理があります。
ここで目指すべきなのは「仕事に興味を持つ」ということです。
同じ仕事でもそれを楽しめるかということは「その仕事に興味を持てるか」で決まり、その人の気持ち次第でもあります。
つまり、世間相場よりストレスを感じない仕事が最初からあるわけではなく、「仕事に興味を持つ」ことで自分の気持ちをそこまで持っていくことが重要です。
②必要経費を変えずに、満足感を上げる方法
資本主義の世界では、まず労働の「価値」つまり必要経費によって給料のベースが決まることを説明しました。
そこにどれだけ利益を上げたかという、その人の「使用価値」が加わり最終的な給料が決まります。
そうすると仕事の満足感(給料)を仮に2倍上げるには、どうすればよいでしょうか。
2倍働いて2倍の「使用価値」を提供する?
できなくはないかもしれませんが、維持するのは不可能でしょう。
これは毎日全力でジャンプしているイメージになります。
いつもゼロからジャンプを繰り返す働き方なので疲れ果ててしまいます。
ではどうしたら良いの?
「積み上げ」を意識して土台を作り、その上でジャンプすることが重要です。
説明したように、給料は労働力の「価値」がベースとなって決まります。
労働力の価値には知識やスキルなど、これまで自分が積み上げてきたものが反映されます。
これらが給料の土台となります。
深い知識、幅広い経験、高度なスキルは身に付けるのに大変な労力と時間を要します。
もし他の人に同じ仕事をやらせようとしたら企業は膨大な時間と費用を必要とします。
すなわち「労働の再生産コスト」が高いということです。
このような状態になると労働の価値は高まり、それが土台となります。
土台分給料は上がっているので、常に全力ジャンプしなくても少し手を伸ばすだけで高い給料を手にすることができます。
自分にはそんな特別なスキルがないという人はどうすれば良い?
自分には何もないというのは勘違いです。
長いこと仕事していれば何かしらスキルはあるはずです。ただそのスキルが「需要のあるスキル」になっていないだけの場合がほとんどです。
したがって、これから身に付けるべきなのは「今持っているスキルを編集して需要のあるものに変えていく力」です。
例えば「営業力」というスキルがあれば、企業研修やコンサルなど、周りで求められるスキルに編集して変えていくのです。
私が始めたしんどい働き方から抜け出すための方法
最後に私が本書を読んで始めてみた実践例を紹介します。
①満足感は変えずに、必要経費を下げる方法
仕事に関連する資格の勉強をする
最近私は職場で新しい分野の仕事を任されるようになりました。
分からないことだらけだし、自分で選んだ分野でもなかったので全く興味が持てず、半分仕事に嫌気がさしていました。
当時は早く仕事を変えてくれ!という気持ちしかなかったね。
そこで、思い切って新しい分野に関連する資格の勉強を始めてみました。
自分がその分野に詳しくなれば多少は興味が出るかなと思っての行動です。
その結果は想像以上でした。
完全に食わず嫌いをしていただけで、学んでみると不思議とその分野をもっと知りたいという興味が出てきました。
ストレスが減っただけでなく、その分野に関わることでの楽しみも見つけられました。
②必要経費を変えずに、満足感を上げる方法
自分の仕事のマニュアルを作る
私の仕事では何を土台として積み上げられるだろうかといろいろと考えました。
何か特別なスキルが必要とというわけでもなかったので、本書でも解説があったように、今のスキルを編集して需要のあるものに変えることを意識しました。
先ほど書いたように、私は最近新しい分野の業務をこなすようになりました。
そこで、自分と同じように初めてこの分野の業務をする人に向けて業務マニュアルを作成しました。
するとこちらも思った以上の効果が表れました。
社内でそのマニュアルが重宝され、まさかの私がその分野の第一人者という扱いを受けるようになったのです。
完全に自分の土台を手に入れたような気持になりました。
あれだけ嫌だった分野なのに、一変しましたね。
さらにマニュアルの効果はこれだけではありません。
マニュアルを作ったことで自分の日々の業務が格段に楽になったのです。
それまではいちいち考えながら行っていた仕事をマニュアルにまとめることで、同じことを考えなくて済み、疲労も軽減されました。
土台があることで高いレベルの仕事ができるだけでなく、ストレスや疲労感を和らげることもできるのだと実感しました。
ブログを書く
これは仕事ではありませんが、自分の土台を作るという意味でこのブログも始めてみました。
本書では「長期的な資産を作ることに目を向けるべき」という記載があったので、それを実践しました。
記事を積み重ねていくことはまさに自分の資産を作ることに等しいはずです。
ブログで稼げるようになると、それはストック型の収益と言われ、寝ている間もブログが稼ぎ続けてくれます。
資産から収益が発生しているという状態です。
今後も資産を作っていることを意識して継続していきたいです。
まとめ:働き方の損益分岐点
ここまでの内容をまとめます。
しんどい働き方から抜け出す方法
・世間相場よりもストレスを感じない仕事を選ぶ
・「積み上げ」を意識して土台を作り、その上でジャンプする
おすすめの実践方法
・自分の仕事分野の資格の勉強をする
・自分の仕事をマニュアルにしてみる
・ブログを始める
これらを実践することで「働き方」は劇的に変わります。
しんどい「働き方」から抜け出すための参考となれば。