【書評・要約】「本気でFIREをめざす人のための資産形成入門」の完全まとめ

「本気でFIREをめざす人のための資産形成入門」は三菱グループのサラリーマンが30歳でFIREを達成するに至った方法、考え方を記した本です。

結論から言うと、著者が日本人というだけあってFIRE本の中でも読みやすく、一番まねできる点が多いです。


実際わたしも本書で紹介されているETFを購入しました。


本書の要点は下記のとおりです。

・海外では働くことが全てではないという考えが普通
・初心者でも米国高配当ETFでFIREを実現できる
・誰でも入金力は高められる

より具体的な内容と私の見解を解説していきます。

おすすめしたい人

・FIREして人生を自由に生きたい人
・再現性のある投資先を知りたい人


FIREを目指した理由と人生観

筆者は新卒で三菱系の大企業に入社しますが、初日で違和感を覚えFIREを目指すようになります。
その違和感とは「普通でいなければならない」という空気感だったそうです。
型にはまった言動をしなければならない会社のことを筆者は「豚舎」と言い放ちます。


ゆうすけ

一生懸命はたらいている人に失礼では?筆者がそこまで言う理由はなに?


筆者は慶応大学在学中に中国の北京に留学をしました。
そこでの経験が筆者のバックボーンとなっているようです。
日本では正しいとされている感覚が、そこではまったく当たり前ではありませんでした。

留学先で出会った学生たちからの「日本人はなぜ長時間働くの?働くのが好きなの?」という
素朴な疑問に全く答えられなかった著者は、いかに自分の人生について考えが浅かったかということを実感します。
さらに30歳という年齢を境に、人間の身体は衰えていくということを知り、人生の1日1日を大切に生きようと誓います。


ゆうすけ

なるほど。でも仕事を辞めたら人間ダメになる。とよく言うよね?


これに対しても筆者は明確な回答を用意しています。
何かに挑戦し続けていれば、生きがいをもっていれば人間的魅力は失わないというのが主張です。
実際私の知り合いにもセミリタイアした人がいるのですが、その人は「次はYoutubeで収益化を達成する」
と意気込んでおり、いきいきしています。
挑戦するというのは、人間を魅力的にするのだなと実感しました。


米国高配当株・増配株への投資でFIREを実現できる

筆者は給料の8割を米国高配当株へ投資することによって、FIREを実現しました。
なぜ高配当株なのか、なぜ米国なのかという点を説明します。


高配当株のメリット

本書では高配当株のメリットについていくつか語られています。
ここでは特に参考になったポイントを解説します。

①高配当株は出口戦略を気にしなくてよい

FIREを目指すならば、当然FIRE後のことも考える必要があります。
普通であればFIRE間近では、いつ利確して現金化するのかという出口戦略が課題になります。
しかし高配当株は基本的にすることはありません。

高配当株は配当によるキャッシュフローを作ってくれるので、ある意味利確を自動的にしてくれる
のと同じ意味合いを持つからです。
つまり高配当株は利確せずに持ち続ければ良いのです。
利確タイミングを計る必要がないのは、FIREをするうえで重要な点です。

②キャッシュフローがあることで下落局面でも買いに回れる

株価の下落局面は絶好の仕込み時になります。
しかし現金も限られる中、どうしても買い足しには気が重くなりがちです。
しかし配当によるプラスのキャッシュフローがあれば、買い足しの原資となります。
株価が上がれば資産が増え、下がれば安く買えるチャンスという両方のメリットを得られます。


なぜ米国株なのか

ではなぜ日本の高配当株ではなく、米国の高配当株なのか。
それは米国企業が圧倒的な利益率を誇っているからです。

配当は当然企業の生み出す収益から捻出されますから、収益の強靭さを測る利益率は重要です。
日本の全産業の平均利益率は4.3%ですが、米国は20%を超す企業が数多く存在します。
また、連続増配企業の数も日本と比べて段違いに多いことも米国株を選ぶ理由になります。

米国主要企業の営業利益率(2019年における過去3年間の平均)は次の通りです。

アルトリア・グループ50.2%たばこ
アッヴィ32.1%製薬
デューク・エナジー23.1%電力
ジョンソン・エンド・ジョンソン24.5%製薬・医療・ヘルスケア
ベライゾン・コミュニケーションズ22.3%通信


ゆうすけ

でも配当よりも成長を追いかける銘柄の方が効率的に資産が増えるのでは?


その指摘は一理あります。
なぜなら企業の利益を配当金として受け取ると課税されますが、配当金を出さずに利益を企業の成長の
原資として取り込んだ方が株価としては大きく上がる可能性があるからです。

しかし、株価の暴落が起きたときはどうでしょうか。
たいていの人はそれ以上の下落を恐れてろうばい売りしてしまうのではないでしょうか。
しかし高配当株であれば、配当金という大きなメリットがあるため、保有するモチベーションになります。

暴落に耐えながら長期投資をするうえで高配当株投資は良い選択肢となりそうです。

初心者でもできる米国高配当投資

米国高配当株が長期投資先として良い選択であることは分かりました。
しかし銘柄選択をするときは財務分析等の知識が必要です。
財務分析がハードル高いという人には高配当ETFがおすすめです。

ETFとは、株の詰め合わせパックです。
すでに説明したような米国の主要な高配当株をまるごとパックで買うことができます。
ETFは業種が分散されているため、市場にまんべんなく投資することができます。
つまり財務分析の知識なしでリスクを抑えた投資ができるということです。

そんなETFの中でも筆者は3つの高配当ETF(VYM、HDV、SPYD)をおすすめしています。
今回はそこにわたしのおすすめ銘柄(VIG)も足して紹介します。

2021年7月17日時点の各ETFのデータは次の通り。

ETFの名前運用会社設定日銘柄数配当利回り特徴
VYMバンガード2006年11月10日420銘柄2.79%・銘柄数が多く分散具合は一番
・業種構成が米国全体と似ている
HDVブラックロック2011年3月29日74銘柄3.59%・財務健全な銘柄が主体
・4半期に1回銘柄入れ替え
SPYDステート・ストリート2015年10月21日77銘柄4.79%・配当利回りは随一
・不動産、公益株等、古い産業が多い
VIGバンガード2006年4月21日245銘柄1.72%・10年以上連続で増配中の銘柄で構成
・銘柄分散も優秀

まずVYMですが、特徴として銘柄数が多く値動きが比較的小さくなりやすいです。
配当利回りは他と比べると低めなので、目先配当を最大化するのは難しそうです。
しかし株価が安いときに仕込むことで配当利回りは上げることができるので、下落時に狙って買うと大変良い投資先になります。

次にHDVですが、特徴として「モーニングスター配当フォーカス指標」という指標に連動を目指しています。
この指標は財務が健全な銘柄を厳選しているため、HDVを買うことで財務健全かつ高配当な銘柄
投資することが出来ます。

そしてSPYDです。特徴としては配当利回りが高いことがあります。
構成銘柄では不動産の割合が高く、コロナのときは下落から回復までに時間がかかりました。
目先の配当金を増やす目的としては良い投資先になりますが、安定性には不安が残ります。

最後に筆者がおすすめするVIGです。特徴は10年以上増配を続ける銘柄のみで構成されています。
増配を続けるということは収益が安定して成長している銘柄が集まっているとも考えられます。
また今現在は配当金が低いですが、今後長期的には上がっていくことが期待できます。


ゆうすけ

さらに絞るとしたら、おすすめはどれ?


わたしであればVYMVIGを選びます。
構成銘柄が多く、値動きが安定しているのは長期投資において精神的にメリットが大きいと感じます。
また、設定日も古いので過去の実績があり、何よりリーマンショックをを乗り越えている実績が安心材料になります。


支出を最適化して入金力を高める方法

本書ではFIRE達成を加速するためには、支出を最適化して入金力を高めることが重要だと言っています。
筆者は支出の最適化によって収入の8割を投資に回していたと言います。
筆者が実際に実践していた方法から面白かったものを抜粋して紹介します。

①ペットボトルは買わずに水筒を持参する

②書籍は図書館を利用する(新刊は予約)

③階段は資源

④保険には入らない

①はすぐに実践できる内容です。ついコンビニ等で150円のペットボトルのお茶を買ってしまいますが、
これを毎日水筒に変えるだけで月3,000円程度節約できます。年間では36,000円です。
大したことないように見えますが、これを年率7%で運用すれば20年後には14万円ほどになります。
毎年20年後の14万円を節約できると思えばすごく大きいですよね。

②は自分も知らなかったのですが、図書館では最新の本も予約して取り寄せることができるそうです。
ハードカバー等の高い本を検討するときはぜひ実践したい内容です。

③はまさに名言です笑。
お金を払って運動をするのではなく、日常にあるものを資源としてフル活用して身体を鍛えることができると筆者は言います。
階段に限らず、お金のかからないもので代用できないかと考えるくせはつけておきたいものです。

④は多くの人が手を付けるべき内容です。
日本には健康保険制度という強力な仕組みがあります。最低限はこれで賄えてしまいます。
また本書には記載ありませんが、自動車保険も考え方次第で大きく節約することが出来ます。
私は長年車両保険を付けていましたが、実際に利用する機会が今後もなさそうだったので外しました。
(その他の周りに損害を与えたときの保証は怖くて外せませんが)
これだけで月2000円ほど節約することができました。大きいですね。


まとめ:本気でFIREをめざす人のための資産形成入門

本書は日本でFIREを目指すならこうするべき!ということが具体的にわかる本です。

投資手法も再現性が高く、まねしたいと思える点が多くありました。
具体的な銘柄を書いてくれている点もとても参考になります。

ぜひ「本気でFIREをめざす人のための資産形成入門」を読んでみてください。

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