【書評】超加速経済アフリカ LEAPFROGで変わる未来のビジネス地図
本書超加速経済アフリカ LEAPFROFで変わる未来のビジネス地図は経済成長が加速するアフリカの「今」を伝えてくれます。
今回も「FIREを実現するための長期投資先としてどうか」という視点で本書を読んでみたので、そのレビューを纏めます。
結論から言うと、本書はアフリカが持つ圧倒的なポテンシャルに気付き、すぐに投資したくなる本です。
今現在のアフリカを正しく認識するためにも必読の書です!
本書の要点は下記の通りです。
・アフリカは巨大市場になりつつある
・すでに多くの先端技術が浸透してきている
・アフリカと中国への長期投資が魅力的
より具体的な内容と私の見解を解説していきます。
・長期投資で大きくお金を稼ぎたいと思っている人
・アフリカのビジネスチャンスを探っている人
・アフリカの今を知りたい人
目次
アフリカってどんなところ?
まずはアフリカの基本情報から見ていきましょう。
経済成長の原動力となる人口、一人当たりGDPの増加予測は特に重要な情報です。
人口
現在アフリカには13億人程度の人が住んでいますが、2050年には25億人になると言われています。
人口が増えている背景には、医療環境が整い、生まれたら成人まで育つようになっていることが挙げられます。
国別で見ると、アフリカで一番人口の多いナイジェリアは現在2億人ですが、30年後には4億人になる見通しです。
一方、生活が豊かになって都市化が進むと人口増加の勢いは落ち着いてきます。
南アフリカは既に都市化が進んでおり、現在5640万人の人口で2040年で6550万人にとどまります。
また全人口のうち働ける年齢がどれだけいるかを表す生産年齢比率も重要な指標です。
日本は生産年齢比率のピーク値が70%で1960年代からバブルが終わる1980年まで続きました。
つまり株高とこの生産年齢比率のピーク時期にはある程度の相関がありそうです。
これから生産年齢人口がピークを迎える国はどこがあるの?
これから生産年齢人口のピークは、中国⇒インド⇒アフリカの順番でやってきます。
中国は既に2010年にピークを付けて現在は下降段階にあります。
インドがピークを付けるのは2025年あたりで2045年くらいまで続きます。
アフリカは2070年にピークを付け2100年くらいまで続きます。
他の国と比べると、アフリカのピークはかなり長く続くことが期待できそうです。
アフリカの主要な国々
アフリカの経済的に主要な国は南アフリカ、ナイジェリア、ケニア、エジプトの4か国です。
これらの国々は都市化率が高く、比較的経済発展が進んでいます。
南アフリカの都市化率は67%で大都市ヨハネスブルグに集中しています。
ナイジェリアは西アフリカの国で都市化率は52%。ケニアは東アフリカに位置し都市化率は28%です。
最後にエジプトは北アフリカで都市化率43%です。
1人当たりGDP
経済の成長度合いを測るのに1人当たりGDPは重要です。
近年、東南アジアの成長が取り上げられ「アジアの時代が来た」と言われています。
東南アジアの国とアフリカの国の1人当たりGDPを比べると、既にアフリカも相当の成長を遂げていることが分かります。
タイ(6000~7000ドル):南アフリカ
フィリピン、インドネシア(3000~4000ドル):エジプト、アンゴラ、モロッコ
ミャンマー(1500ドル):ケニア、スーダン、ガーナ
産業構造も変化してきており、ケニア当たりでは第1次産業が半数以上を占めますが、南アフリカでは70%が既に第3次産業です。
ナイジェリア、エジプトも約50%程度が第3次産業になっています。
イケイケな話ばかりだけど課題はないの?
課題は第2次産業がなかなか立ち上がらないことです。
第2次産業が発展することでインフラが整い、経済発展が加速します。
今後、1次産業からいかにシフトしていけるかが課題となります。
アフリカは先端技術が日本より浸透している
固定電話ではなくいきなりスマートフォンが普及ことなどはリープフロッグ(蛙飛び)と言われますが、これと同じことが多数の分野で生まれています。
M-PESAによりモバイルマネーが浸透
ケニアの通信会社サファリコムが行っているサービスのM-PESAはモバイルマネーを提供しています。
携帯電話を購入したら、まずプリペイド方式で通話料をチャージします。
このチャージ金額を他人にも送れて、通貨のように使えるようにしたのが、M-PESAの画期的なサービスです。
M-PESAが更にすごいのは、送金・決済・預金・ローンまで組めてしまうところです。
銀行口座なしでこれらのサービスが利用でき、人々の消費を促しています。
サファリコムの株価は4年程で2倍のペースで増え続けています。
そのほかにも多数のユニコーン企業が存在
アフリカには多数のユニコーン企業が存在します。特に医療テック系の企業が次々と生まれています。
アフリカには既得権益者がまだ少ないため、欧米で開発した商品をまずアフリカから導入するというケースが増えてきているようです。
他にもChipper Cashという海外送金を手数料無料でできるサービスもあります。
これはアプリをダウンロードさえしていればモバイルマネーを国を超えて送金が手数料無料で行えます。
私はこれは、現在の通貨の価値を揺るがす破壊的なサービスではないかと思います。
通常通貨の海外送金にはSWIFTというプラットフォームを利用し、手数料が1回あたり40ドルほど必要です。
これが無料なのですからモバイルマネーを一度利用した人が既存の通貨に戻ることは想像しにくいです。
そうするとどんなことが起こるの?
現在の基軸通貨であるドルをはじめ、様々な国債通貨の価値が暴落する可能性があります。
そうすると実質モノの価値があがるインフレが発生する懸念があります。
海外企業から見てもアフリカは巨大市場になりつつある
アフリカ内でユニコーン企業が次々と生まれてきていることは既に解説しました。
ではアフリカ域外の企業から見たとき、アフリカはどう映るのでしょうか。
ひと昔前だと、物価水準が低く域外からモノ・サービスを持ち込んでも商売になりませんでしたが今はどうなのでしょうか。
物価水準が成長し、市場としても魅力的
結論、現在のアフリカは物価水準が中国レベルまで上がってきており、市場として大変魅力的です。
実際、中国のゼネコン企業が多くアフリカに進出してきています。
そこで中国国内で使用している鉄骨やエスカレーターなどを使用して大きな競争力を誇っています。
中国メーカーは既に実績があるので、アフリカ域内のメーカーと比べて品質・納期レベルが高いです。
そこに加えて物価が同水準のため、中国国内の商品を同じ値段で持ってきても十分競争力があるのです。
中国の進出
中国のアフリカ進出は、2000年台初頭から始まっていました。
一路一帯をはじめとした巨額のインフラ投資を実施しています。
主な目的はアフリカの持つ豊富な資源の確保と、国連での票の確保だと言われています。
投資先としての考察
最後に本書を踏まえて、アフリカへの投資とアフリカによって恩恵を受ける国への投資について考察します。
具体的にどんな銘柄に恩恵があるのかという点にも触れますので参考にしてください。
アフリカへの投資
本書に書かれている通り、アフリカは高い成長力を持った国です。従って、投資先としては非常に魅力的です。
経済が加速する基準とされている一人当たりGDP1000ドルは既に突破している国が多くあるため、これから急成長していくことが期待できます。
ただアフリカに限らず新興国への投資で気を付けたいのは、新興国通貨の暴落です。
通貨への信用が低いうちは米国金利が高まるとすぐに新興国から通貨が逃げ出していってしまいます。
そうすると新興国の経済成長を阻害する要因となります。
結論としては、毎月少額をコツコツ積み立てていく超長期であれば報われる確率は高くなるはずです。
具体的な銘柄としては、米国ETFの「AFK」がアフリカ各国へ投資ができるのでおすすめです。
アフリカ市場で活躍する国・企業への投資
成長するアフリカ市場で一番利益を得るのは間違いなく中国でしょう。
一路一帯ではインフラを握っており、電化製品等も多く進出しています。
また、アフリカ内にいる中国人は約100万人で、米国の10倍、日本の100倍程にもなります。
アフリカ内でのプレゼンスは中国が間違いなくトップです。
アフリカの市場の成長に合わせて中国企業の成長も期待できます。
中国への投資と合わせて検討したいのがインドです。中国が覇権を握ることに対して各国は黙ってそれを見ていません。
米国はインド、日本と協力してそれを阻止しようとしています。
インドはいずれ中国の人口を抜くと言われていますから、インドが覇権を取る可能性もあります。
従って、中国と合わせてインドへの投資もおすすめします。
銘柄として投資信託の「eMAXIS Slim 新興国株式インデックス」を買っておけばどちらにも投資できます。
しかしかなり中国に偏っているので、インドの比率を増やしたければ、「EPI」などがおすすめです。
まとめ:超加速経済アフリカ
本書はアフリカのことを正しく理解する上で非常に参考になる本でした。
長期投資としては、巨大市場になるアフリカに加えて、中国への投資も魅力的な投資先だということが分かりました。
ぜひ手に取って読んでアフリカの持つ魅力に触れてみて下さい。
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