【書評・要約】「NISAで利回り5%を稼ぐ 高配当投資術」のまとめ。本の感想から実践まで/窪田真之
高配当株でマネーマシンを作りたい!
でも今から株ってもう遅いよね。。
米国株ブームには完全に乗り遅れた。。。
上記のように「今からでも儲かる高配当投資が知りたい人」に向けて書いています。
コロナ後の米国をはじめとした株式バブルは、そろそろ終盤の局面を迎えつつあります。
かつて高配当と呼ばれた銘柄の多くは既に値上がりしているものが多く、利回りはかなり低くなってしまっています。
しかし今から投資しても間に合う銘柄があるとしたら、どんな銘柄か知りたくないですか?
世界の株価は現在とんでもなく割高だと聞きました。
今でも高利回りな株なんてどうせリスクの高いものなのでは?
そんなことはありません。
財務健全なのに投資家が気付いていないだけで、割安に放置されていいる銘柄が実はあるのです。
結論から言ってしまうと、それは日本の高配当銘柄です。
本記事を読めば、まだ割安で買える「珠玉の日本の高配当株」が分かります。
この本は、日本株のファンドマネージャー歴25年の経験を持つ窪田真之さんが書いた投資本です。
窪田さんは以下のような経歴をお持ちです。
・日本株ファンドマネージャー歴25年
・東証株価指数(TOPIX)を大幅に上回る運用実績
・楽天証券経済研究所チーフストラテジスト
・2015年より同所長兼務
このように、日本の個別株への精通度合いは抜群です。
窪田さんの投資手法は伝説の投資家であるウォーレン・バフェット氏と根幹部分がよく似ています。
「株価が本質的価値と比較して、ばかばかしいほど安い水準まで売られたときに買うことで、利益が得られる」
といういわゆるバリュー投資の考え方です。
本書では、彼の長年にわたるバリュー投資の経験と、独自の調査をもとにした知見から選び抜かれた、まさに珠玉の高配当銘柄を惜しげもなく公開してくれています。
あなたも本書を読んで、高配当株投資をスタートしてみてください。
・日本の高配当株投資で資産を増やす方法
・高配当株ポートフォリオの組み方
この記事では本書のおすすめ銘柄の一部を紹介します。
またその中で私が実際に購入を検討している銘柄をお伝えします!
目次
日本の5大商社は高配当バリュー株
昨年、ウォーレンバフェットが日本の5大商社株を購入したことが大きな話題になりました。
冒頭にも記載した通り、バフェットの投資手法は「本質的価値を大きく割り込んでいる株に投資すること」です。
バフェットは5大商社株全てを5%まで取得しており、彼の購入基準から見て割安と判断したようです。
実際、筆者もPERやPBR及び配当利回りを見て割安と判断しています。
PERやPBRが分からない方は下記記事を参考にしてみて下さい。
無料でできる株式スクリーニング方法公開! – 社畜解放ライブラリー (share-note.com)
コード | 銘柄名 | 株価 | PER | PBR | 配当利回り |
8001 | 伊藤忠商事 | 3,408.0 | 9.2 | 1.52 | 2.8% |
8002 | 丸紅 | 908.6 | 7.0 | 0.86 | 3.7% |
8031 | 三井物産 | 2,303.5 | 8.3 | 0.83 | 3.9% |
8053 | 住友商事 | 1,488.0 | 8.1 | 0.73 | 4.7% |
8058 | 三菱商事 | 3,20.0 | 11.7 | 0.79 | 4.4% |
日本の商社は割と有名だと思うけど、なぜ割安に放置されているの?
それは商社が「資源関連銘柄」だと思われているからです。
とくに最近はシェール革命もあり、原油の上値が重くなっており資源株の値も重たい背景があります。
では実際商社の売り上げが資源に依存しきっているかというと、そうではありません。
過去、三菱商事や三井物産は利益の8割を資源ビジネスで稼いだこともありましたが、現在は度重なる暴落を経て資源一本のビジネスから脱却しています。
割安なのは分かったけど、商社の強みって何?
それは成長市場のうまみを取り込みつつ、巧みにリスク管理している点です。
商社が手掛けているビジネスには下記のようなものがあります。
・新興国の社会インフラ整備事業(発電所・鉄道・上下水道)
・IT・バイオ・新エネルギー・ロケットなどの最先端事業
・資源ビジネス
仮にビジネスが見込み違いだった場合は厳格な撤退基準を持っています。
この点が商社の強みと言えそうです。
バフェットの投資基準に合う日本株
本書では筆者が、もしバフェットが日本のファンドマネージャーだったらおそらく購入する銘柄「もしバフェ株」を5つ厳選して紹介しています。
今回はその中から2銘柄だけピックアップして紹介いたします。
この2銘柄は実際に私も購入を決めた銘柄ですので、その理由も説明します。
コード | 銘柄名 | 株価 | 配当利回り | PER | PBR |
8306 | 三菱UFJ FG | 578.0 | 4.7% | 8.7 | 0.4 |
5020 | ENEOS HD | 472.1 | 4.7% | 7.4 | 0.7 |
三菱UFJ FG
まずは日本を代表するメガバンクである三菱UFJ FGです。
筆者は三菱UFJ FGがバリュー銘柄の筆頭だと言及しています。
とくにPBRが0.4というのは異例な水準です。
これはなぜかというと、同企業が保有する有価証券(日本株、外国債など)に大量の含み益が出ているからです。
コロナ後の世界的な株高によって恩恵を受けたんですね。
今後、この含み益を少しずつ売却していく計画となっており、安定した売却益が出ると考えられます。
ではなぜ割安に放置されているの?
それは「長期金利の低下=銀行は稼げない」という間違った認識があるからです。
従来、銀行の収入は短期金利で政府からお金を借りて、長期金利で消費者などにお金を貸すビジネスが主流でした。
三菱UFJ FGは現在このような長短金利差で稼ぐビジネスモデルとは縁を切っていますが、一部の地方銀行などではこのモデルを継続しているところが多くあります。
従って、世界的な長期金利低下=銀行収益が低下するというイメージが残っているのです。
わたしが三菱UFJ FGの購入を決めた理由
わたしが三菱UFJ FGを購入することに決めたのには、上記に加えてもう一つ理由があります。
それは私は住宅ローンを変動金利で組んでいることに関連しています。
住宅ローンを組んでいる私と銀行とは下記のような利益相反の関係にあります。
住宅ローンの金利が上がる⇒私は損する、銀行は損する
住宅ローンの金利が下がる⇒私は得する、銀行は得する
銀行株を買うことは、マクロ的に見て住宅ローンのリスクヘッジにもなるのではないかと考え、最終的に購入を決めました。
ENEOS HD
ENEOSというとガソリンスタンドのイメージが強いですが、エネルギーの上流(原油資源開発)から下流(石油製品)まで幅広くビジネスを手掛けています。
この銘柄が売り込まれて割安となっているのは、最近はやりのESG投資(※)によって機関投資家の投資対象から外されていることが考えられます。
(※)E:エコ(環境経営)、S:ソーシャルレスポンシビリティ(社会的責任)、G:ガバナンス(企業統治)
ESGが意識される中で、この企業の未来は明るいと言えるの?
ENEOS HDは原油サービスによるしっかりとした事業収益を持ちつつ、未来の水素事業にも投資をしている点が強みです。
現在、自動車業界はガソリン車の代替としてエコカー開発を推進しています。
現在主流になりつつあるのがEV(電気自動車)ですが、これに待ったをかけるのが水素を使った燃料電池車です。
EVと同様、燃料電池車の排出ガスはゼロであり、未来のエコカーとしてEVとともに認められています。
ENEOS HDは水素ステーション事業を手掛けており、燃料電池車が普及すれば大きな利益を手にすることが出来ます。
わたしがENEOS HDの購入を決めた理由
私はコロナ後の世界ではコモディティが爆上げすると考えています。
コモディティとは原油、金属など商品を意味する言葉です。
コモディティが爆上げすると思う理由は、米国が行った大規模な金融緩和によって、今後ドルの価値が目減りしてドル安になると考えているからです。
詳細は割愛しますが、ドル安になるとコモディティは上がりやすくなります。
コモディティ(原油)価格が上がれば、当然原油サービスを展開するENEOS HDの利益も大きくなります。
現在、コロナでの消費冷え込みからも原油の価格は下落していますが、経済活動が本格化することで価格は上がります。
さらにドル安によってコモディティ価格が上乗せされることが期待できると考えました。
コモディティについての解説は下記記事に記載してますので興味のある方はどうぞ。
利回り5%を稼ぐ高配当利回りファンドの作り方
本書では利回り5%を稼ぐ高配当利回りファンドの組み方を少しだけ解説します。
米国で一時期話題になった「ダウの犬戦略」を使います。
ダウの犬戦略とは
①NYダウ採用銘柄(30銘柄)を配当利回りの高い順に並べ、上位10銘柄を選びます。
②1年後に、もう一度NYダウ採用の配当利回り上位10社をスクリーニングします。1年前に投資した銘柄で、上位10社から外れた銘柄を売却し、代わりに新規に上位10社に入った銘柄を買います。
③1年ごとに、この方法でリバランス(銘柄入れ替え)を続けます。
出典: NISAで利回り5%を稼ぐ 高配当投資術 より
これだけでNYダウを上回るパフォーマンスを挙げられることが多かったようです。
これを日本銘柄に応用すると高配当ファンドができあがります。
具体的手順は下記の通りです。
①東証株価指数(TOPIX)採用銘柄の時価総額上位70銘柄をピックアップする
②その銘柄を予想配当利回りの高い順に並べて上位10銘柄を購入銘柄とする
③10銘柄になるべく等しい金額ずつ投資する
まとめ:NISAで利回り5%を稼ぐ 高配当投資術
ここまでの内容をまとめます。
・日本の5大商社は高配当バリュー銘柄として買い
・もしバフェ株の三菱UFJ FGとENEOS HDは買い(本書ではその他3銘柄あり)
・利回り5%を稼ぐ高配当利回りファンドをダウの犬戦略で作る
この本を読むまで、わたしはグロース銘柄にこそ投資すべきと考えていました。
しかし本書を読んで、バリュー銘柄の持つ魅力に気付くとともに、投資すべき具体的な銘柄も知ることができました。
今後、配当によって資産を増やしていきたい方は、「NISAで利回り5%を稼ぐ 高配当投資術」を読んでみてください。