【書評】池上彰の世界の見方 インド 混沌と発展のはざまで
「池上彰の世界の見方 インド 混沌と発展のはざまで」を読みましたので書評を投稿します。
FIREを見据えた長期投資先として、インドはアリかナシかという視点を盛り込んだ書評になります。
著者:池上彰
発売日:2020年7月5日
出版社:小学館
結論から言うと、インドは長期投資先として外せない国だと思います。
今後、アメリカ、中国に対抗できる唯一の国となりそうです。
長期投資先の判断として本書の要点は下記のとおりです。
・人口、経済、教育の面で覇権を握る条件は整っている
・宗教の課題を乗り越えられるかどうかが今後の鍵を握っている
次の人におすすめの記事です。
・長期投資先としてインドを検討している人
・インドのことが詳しく知りたい人
目次
インドの基本情報
インドは現在、中国に次ぐ第2位の人口(約13億5千万人)を有する大国です。
中位年齢は28歳と若く、これからの成長が最も期待されている国です。
しかも2027年ごろには人口でも中国を抜くと言われています。
その中で人口の約1割(1億3千万人)が英語を話すことが出来ます。
この英語力を生かして、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)が盛んです。
BPOってつまりどういうこと?
BPOは簡単に言うと、ビジネスで発生する業務を外部委託するということです。
インドはアメリカ、イギリスなどの英語圏からBPOを受注し、世界の7割を占めています。
また政権は現在インド人民党が握っており、モディ首相によるワンマン政治となっています。
インド人民党はヒンドゥ教を優遇するヒンドゥ至上主義を掲げているという特徴があります。
宗教から見るインド
インドにはカースト制度という非常に厳しい身分制度があります。
カースト制度は、ヴァルナという身分的な階級とジャーティという職業的な階級があります。
このジャーティによって、代々同じ職業に就くということが一般的になっています。
ただし、大学には留保枠というものがあります。
これは最下層の指定カースト専用の枠があるのです(合格枠の半数に留保枠を設けているところもあります)。
従って階級が低くても学ぶチャンスは確保されています。
ジャーティについては賛否両論ありますが、仕事の住み分けを促進し雇用を保護するという側面もあります。
また最近成長が著しいIT分野については、もともとジャーティにはない分類なので身分制度の制約を受けにくく、新しい産業が生まれやすい性質を持ちます。
産業の面から見るインド
BPOの説明でも記載した通り、インドはアメリカからたくさんの仕事の依頼がきます。
なぜインドなのかというと、次のような理由があります。
・英語が話せる人が多い
・時差がちょうど半日違うため分業の委託債として最適
(アメリカが夜の段階でインドに仕事を投げれば、翌朝アメリカで仕事が始まるころには仕事が仕上がっている)
・インドは高いIT技術を有しているため
またインドにはインド工科大学という世界的な名門校があります。
インド工科大学には世界中のIT企業からリクルートに来ます。
インドの優秀な学生たちが、海外へ流出してしまうことなく自国の発展にどれだけ貢献できるかが課題だと思います。
地政学から見るインド
インドは対中国を考える上でキーとなる存在です。
中国が一路一帯でスリランカからギリシャ、イタリアまで海のルートを築くことでヨーロッパにも手を伸ばしています。
日本はアメリカ、インドと手を組んで中国に対抗していくと考えられます。
インドは長期投資先としてどうか
以上を踏まえて、インドへ投資することのプラスの面とマイナスの面を纏めてみます。
プラスの面
・今後も人口の増加が期待でき、2027年には中国を抜いて世界第1位の人口大国となる
中位年齢は28歳と若く、GDPの成長が期待できる
・アメリカ等の国から継続的なBPOを受注できる
・インド工科大学という世界的に優秀な大学があり成長を牽引できる人材がいる
・モディ首相のワンマン政治なので、意思決定が比較的早く軌道に乗れば国が急速に発展する可能性がある
マイナスの面
・カースト制度による職業階層が国の成長を阻害する可能性がある
・インド人民党によるヒンドゥ教至上主義によって分断を生む可能性がある
マイナスの面はありますが、今後アメリカ1強の時代が終わり中国もしくはインドが世界を牽引していきそうです。
私としては、中国とインドの両方に投資をしていくのが現段階では良いと思いました。
まとめ:池上彰の世界の見方 インド 混沌と発展のはざまで
本書からは、これからインドが発展するであろう材料を多く発見することができました。
今後も本書で知ったポイントを踏まえてインドの成長に期待して投資していきたいと思います。
ぜひ手に取って読んで、投資先としても検討してみて下さい。